日本国内で昔に比べて所有が増えつつある「スマートスピーカー」は、音声による指示で家電を一括管理・操作できるスマートホーム製品です。自宅内や外出先で、スマートスピーカーから家電を一括管理・操作するにはWi-Fi環境が必須となります。
しかし、Wi-Fi環境を自宅に導入するには工事費など初期費用がかかります。しかし、2台のポケット型Wi-Fiをルーターとして交互に使用することで、スマートスピーカーを快適に、家電をコントロールすることが可能となります。今回はポケット型Wi-Fiはスマートホーム製品である「スマートスピーカー」のWi-Fi環境を安く作り出すのに役立つことについて解説します。
スマートフォン所有者555人の内、スマートスピーカー所有者は120人(21.6%)
MMD研究所実施の「スマートウォッチとスマートスピーカーに関する調査」(2019年)と「スマートスピーカーに関する調査」(2021年)を比べると、スマートスピーカーを持っている割合は日本国内で少しずつ増えつつあります。
2019年 | 2021年 | |
実施期間 | 7月12日~19日 | 10月19日~10月22日 |
対象 | スマートフォンを所有する20歳~69歳の男女1,867人 | スマートフォンを所有している20歳~69歳の男女555人 |
所有率 | 14.7%(270人) | 21.6%(120人) |
男 | 19.4% | 27.1% |
女性 | 10.2% | 16.0% |
所有スマートスピーカー | ①Amazon Echo:35.6% ②Google Home:35.3% ③Google Home Mini:33.1% | ①Amazon Echo:16.7% ②Google Home:12.5% ③Amazon Echo Show:10.8% |
参照:MMD研究所「スマートスピーカーに関する調査」(https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2007.html)
「スマートウォッチとスマートスピーカーに関する調査」(https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1812.html)
スマートスピーカーにオススメなWi-Fiルーターは「ポケット型Wi-Fi」
上記のデータから、「価格」が1位になっているということは、少しでもお得に導入したいという結果ではないでしょうか。そうなると、スマートスピーカー本体はもちろん、導入に必要な環境費用も安く済ませたいと思うはずです。
基本的に、Amazon EchoやGoogle HomeなどのスマートスピーカーはスマートフォンとWi-fi環境(インターネット)が必要です。Wi-Fi経由でインターネットに接続しないと一切の機能が使えません。Wi-fi環境(インターネット)を自宅に設置するにはいくつかの方法があります。
方法 | 通信速度 | 月額料金の相場 | 備考 |
ADSL | 最大50Mbpsほど | 2,000円 | 廃止や新規契約不可プロバイダーが増加 |
ケーブルテレビ系 | 最大320Mbpsほど | 6,000円 | 有線なので通信が安定している |
ポケット型Wi-Fi系 | 最大2.7Gbpsほど(WiMAXの場合) | 3,000円~4,500円 | 3日間10GBなど短期間での通信制限あり |
光回線 | 最大2Gbps(NURO光の場合) | 4,200円~5,500円 | 別途工事費、オプション料金が必要 |
光回線は、電柱から自宅に光ファイバーケーブルを引き込む回線工事が必要なので、住んでいる地域やアパートによっては工事ができないケースが発生します。
また、一般的に工事費は2~3万円かかり、立会いが必要です。そのため、契約開始から1ヶ月後にようやく利用開始という可能性もあります。
ポケット型Wi-Fiは工事が必要ないため、基本的に契約事務手数料と端末料金がかかります。通信制限や複数台接続不可、契約期間内に解約すると違約金が発生するなどデメリットもあります。
しかし、提供会社によっては端末を無料でレンタル・購入キャンペーン実施、端末が届き次第すぐに利用可能、そして何より月額料金が安いです。光回線と比べるとポケット型Wi-Fiの方がルーターとして有利といえるのではないでしょうか。
ポケット型Wi-Fiとは
ポケット型Wi-Fiとは、持ち運びができるWi-Fi通信端末のことです。格安スマホのワイモバイルが国内初の持ち運びできる小型Wi-Fiルーターとして「Pocket Wi-Fi」を提供開始したことがきっかけで、その後にサービス展開した他社の持ち運びできるWiFiルーターも総じて、「ポケット型WiFi」として広く認知されていきました。
ポケット型Wi-Fiは価格も安く、手軽に利用できるため、月額料金が安いプランを利用してWi-Fi環境を整えたい人におすすめです。
ポケット型Wi-Fiをルーターにするデメリットは、ポケット型Wi-Fiを2台持つことで解消されます。2台持ちのメリットは以下のとおりです。
速度制限を回避できる
1つ目は「速度制限を回避できる」ことです。
ポケット型Wi-Fiには3日で10GBなどの大量のデータ通信利用時の速度制限が設定されています。
速度制限がかかってしまうとスマートスピーカーは満足いく動きができなくなり、相当なストレスになりかねません。
2台所有していれば、家用と外出用と分けたり、交互に利用したりすることで、速度制限を回避することが可能になります。
複数台接続時でも通信速度改善を図ることができる
2つ目は「複数台接続時でも通信速度改善を図ることができる」ことです。
ポケット型Wi-Fiには接続台数の上限が設定されています。上限に達していなくても、複数の端末を接続することで、処理能力をかなり消費してしまい、通信速度などが遅くなってしまいます。
しかし、ポケット型Wi-Fiを2台持っていれば、複数台接続時でも通信速度改善を図ることができます。
ポケット型Wi-Fiでもスマートスピーカーは十分利用できる
ポケット型Wi-Fiでもスマートスピーカーは十分利用できます。
スマートスピーカーの使い方次第で通信速度が低速でも十分利用できる
1つ目は「スマートスピーカーの使い方次第では通信速度が低速でも十分利用できる」ことです。
スマートスピーカーは通信速度が上下ともに最大200kbpsでは返答がかなり遅くなり、楽曲データの読み込みに時間がかかり、再生が始まっても数秒~数十秒おきに止まってしまいます。そのため、200kbpsの低速状態ではスマートスピーカーを使用するのは厳しいようです。
しかし、高速な回線でないとスマートスピーカーは使用できないのかというと、そうではありません。
たとえば、自宅内でスマートスピーカーからスマートリモコンへ指示を出す、音楽を再生する程度であればたまに止まるかもしれませんが、格安SIMの低速状態(1Mbps)でもそこまでストレスは感じず、使い方によっては低速でも十分快適に利用できるでしょう。基本的には通信速度が10Mbps以上あれば大体何でもできると言われています。
ただし、他の機器と連携して通信するとなると、1Mbpsでも止まってしまう可能性は十分ありますので、ポケット型Wi-Fiをルーターにしてスマートスピーカーをストレスなく使いたい場合は、格安SIMの低速状態で使用するのはやめておきましょう。
複数のポケット型Wi-Fiをルーターとして使い分けている場合ストレスを感じる
2つ目は「複数のポケット型Wi-Fiをルーターとして使い分けている場合ストレスを感じる」ことです。
パソコンやスマートフォンの場合、複数のSSIDとパスワードを登録しておけるので、簡単に異なるWi-Fiに切り替えたり元のWi-Fiへ戻すことが可能です。
しかし、スマートスピーカーの登録可能なWi-FiのSSIDは1つだけです。
Google Homeの場合、異なるWi-Fiに接続するとそれまで接続していたWi-Fiの情報は失われてしまうため、その都度設定し直さないといけません。
Echo Dotの場合、紐づけたAmazonアカウントに複数のSSIDを登録できますが、切り替えが上手くいかず、電源を切ったポケット型Wi-FiルーターのSSIDをを探し続けたり、他のSSIDをに接続しようとしないなど不具合が生じる可能性が高いです。
そのため、メインとサブ、というように複数のポケット型Wi-Fiをルーターとして使い分けている場合ストレスを感じるかもしれません。
無線LANルーターを併用すれば切り替える度にセットアップし直す必要なし
複数のポケット型Wi-Fiでスマートスピーカーを使いたいなら、無線LANルーターを併用すれば切り替える度にセットアップし直す必要がなくなります。
- ポケット型Wi-Fiルーターを無線LANルーターと接続
- スマートスピーカーは無線LANルーターのSSIDに接続
上記の手順により、ポケット型Wi-Fiを複数使い分けていたとしても、そのまま同一のSSIDを使用し続けられます。そのため、ポケット型Wi-Fiを切り替える度にセットアップし直す必要がなくなります。
無線LANルーターは、比較的安価な製品でも高性能なモデルのものや、メーカーや機種によって性能にバラつきがあり、価格相場は5,000~30,000円台です。なので、複数のポケット型Wi-Fiでスマートスピーカーを使う場合は無線LANルーターを併用しましょう。
まとめ
スマートホームとポケット型Wi-Fiについて解説してきました。以下まとめになります。
- スマートスピーカーにはインターネット環境が必要だが、光回線は工事費用や立会などが必要なので実装に時間がかかるが、ポケット型Wi-Fiだとその日の内に作り出せる
- Wi-Fi環境が必須なスマートスピーカーはポケット型Wi-Fiルーターでも十分使えるが、格安SIMなどの低速な回線だと快適に使えない可能性がある
- ポケット型Wi-Fiを2台持ちして無線LANルーターを経由すればスマートスピーカーを快適に使う上でのデメリットを解消できる
スマートスピーカーは日本では海外に比べ普及していない理由は、利用者が少ないから口コミが少なく、その利便性がイマイチ想像できない人が多いからかもしれません。それでも過去と比較すると確実に所有者が増えていっています。
おそらく技術力が上がり、値段もそれほどまで高くないと思えるスマートスピーカーがではじめる頃には、スマートスピーカーは自分たちの生活をより向上させてくれるモノであるという認識がさらに広まっていくのではないでしょうか。
利用者を増やし、口コミを増やすためには、本体価格もありますが、利用するための環境にかける料金も重要です。
光回線は通信速度が速いですが、工事費用や工事立会などが必要なのでスケジュール調整や料金などの手間がかかり、インターネット実装に時間がかかる可能性があります。
しかし、ポケット型Wi-Fiは手頃な月額料金で、工事も必要なくWi-Fi環境をその日に作り出すことができるので、スマートスピーカーの利用環境を安く作り出すのに最適かもしれません。
ポケット型Wi-Fiはデメリットもありますが、使い方や工夫次第で非常に便利なツールです。ぜひ、スマートスピーカーを導入してみたいと検討している方は、ポケット型Wi-Fiの2台持ちを検討してみてはいかがでしょうか。きっと快適な生活が待っているはずです。