新型コロナウイルスの影響を受け、リモートワークが増え、家にペットがいる方はよりペットと関われる時間が増えたのではないでしょうか。ペットは体調不良だとしても人間に言葉で伝えることができません。そのため、飼い主が気づかずにいると大きな病気になって、最悪命を落とす可能性があります。そんな悩みを解決するのが「ペットテック」です。
ペットテック製品をスマートホーム化することで音声やスマートホンにより一括管理・操作でき、ペットの留守中の様子や普段の健康状態を把握確認できるようになります。今回はスマートホームとペットテックについて解説します。
ペットの飼育頭数推計の実態
一般社団法人ペットフード協会の「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査 結果」によると、2021年の犬・猫 推計飼育頭数全国合計は、16,052,000頭でした。
参照:2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査 結果(https://petfood.or.jp/topics/img/211223.pdf)
2021年の推計飼育頭数は犬が7,106,000頭、猫が8,946,000頭です。犬の飼育頭数は2013年に比べて約160万頭減少していますが、猫の飼育頭数は2013年よりも約50万頭増えています。
2017年には猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を初めて逆転しています。その後犬の飼育頭数はゆるやかに減少していきますが、猫は徐々に増えていっています。
コロナウイルスの影響で増えるペットビジネスへの需要
犬と猫の飼育頭数は減少しつつあるのに対して、ペットビジネスを始めるのに必要な「第一種動物取扱業の登録・届け出数」は年々増えていっています。
参照:動物取扱業者登録・届出状況(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r02/2_1_1.pdf)
ペットビジネスはなぜ年々増えていっているのでしょうか。それは、新型コロナウイルスなどの影響で、満員電車など人の多い場所からの感染を防ぐためリモートワークやお家時間が増えたため、ペットと過ごす時間増加により心穏やかに過ごせる日々が増え、毎日の生活が楽しくなった人が多いからではないでしょうか。
愛しいと思えば思うほど、健康的で快適に過ごしてもらいたい。そういった飼い主が犬と猫に一ヶ月使う金額は、「2020年と2021年の医療費などを含む犬と猫に関する一ヶ月当たり支出総額」から年々増えていることがわかります。
2020年 | 2021年 | |
犬 | 12,020円 | 13,843円 |
猫 | 7,252円 | 8,460円 |
そのため、犬同伴OKのカフェや、ペット専用のホテル、見守りも含めた美容院やペットシッターなどの多種多様なペット関連ビジネスは、今後も増えていくのではないでしょうか。
ペットテックとは
ペットテック(PetTech)は「ペット=Pet」と「技術=Technology」を組み合わせた造語であり、最先端のITやAI技術を活用して、ペットの世話や飼育、健康管理などのサポートを行う商品・サービスを指します。
ペットも家族の一員と捉える考え方が普及し、ペットが暮らしやすい環境整備や健康管理への需要が高まり、ペットテック関連製品の消費を押し上げています。
ペットテック×スマートホームによるメリット
ペットテック関連のIoT製品をスマートホーム化させることで、ペットと飼い主は以下のようなメリットを得ることができます。
留守番中のペットが温度や湿度で苦しまない
エアコンや扇風機の家電リモコンをスマートリモコンに登録、連携させることで、外出先からでもスマートフォンで自宅の温度や湿度の管理が可能となります。
急激に気温が変化したとしても、手元のスマートフォンで自由にエアコンの電源を付けたり、運転モードや温度変更することで、留守番しているペットが温度や湿度で苦しむことがなくなります。
また、落雷や台風などで一時的に停電したとしても、自宅をスマートホーム化させておくと電気復旧と同時に電源をつけることが可能なので、万が一の時も心配ありません。
健康管理が一括管理・操作できる
ネットワークカメラやヘルスケアデバイスなどからペットのデータを蓄積することで、以下のような多角的なペットの健康管理が可能となります。
- システムトイレ:尿の回数やデータ、体重を計測してアプリに送信し、家族で情報を共有できる
- ネットワークカメラ:室内に設置することで、留守番中のペットの様子をパソコンやスマートフォンからリアルタイムでチェックできる。マイクやスピーカー搭載のものなら話しかけることもできる
- 追跡機能付き首輪:スマートフォンでペットの位置情報がすぐにわかる
- 首輪型犬猫用活動量計:適切な運動量を把握できるなど
たくさんありすぎると管理が大変ですが、これらのIoT製品をスマートホーム化して一括管理・操作すると非常に便利であり、ペットの健康ケアの幅は更に広がるでしょう。
音声操作でご飯やおやつをあげることができる
自動給餌器は、スマートフォンアプリの給餌ボタンをタップするだけで、最適のタイミングでペットに遠隔操作でご飯やおやつをあげることが可能です。
自動給餌器とスマートスピーカーを連携させれば、外出中だけでなく、自宅にいて仕事が忙しく手が離せないときでも、スマートフォンを触ることなく音声操作によって自動的にご飯やおやつをあげることができます。
ペットテック×スマートホームの具体的な商品
ペットテック×スマートホームの具体的な商品を紹介していきます。スマートホーム化にはブロードバンド回線(常時接続)と取付工事・工事費等が各自必要ですのでご注意ください。
LIXIL「ライフアシスト2 ペット見守りセット」
ライフアシスト2 ペット見守りセットとは、外出先からペットを見守ることができる以下のIoT製品がセットになったものです。
- スマートスピーカー対応のホームデバイス
- 縦方向90度、横方向345度可動する1080p(200万画素)の高画質、ナイトビジョン対応で、双方向通話が可能な屋内カメラ
- 赤外線集中リモコン
- 温湿度センサ
ホームデバイスとは、インターネット接続することで住宅設備や家電などの機器や各種センサ、カメラなどの対応機器と通信し、操作や制御を行うためのゲートウェイです。専用アプリでの遠隔操作やスマートスピーカーでの音声操作、ルールを設定しての一括操作を可能にします。
たとえば、温湿度センサーの場合、外気温が28度になるとエアコンをオンにする、湿度が高い日にエアコンがオンになれば加湿器はオフになる、といった複雑な操作も設定可能です。
また、屋内カメラも同時に動かすことができるので外出先からペットの様子を確認でき、夏の暑い日にペットを留守番させても安心して出かけることができます。
ただし、無線LANルーターは同梱されていませんのでご注意ください。
▶LIXIL「ライフアシスト2 ペット見守りセット」(https://parts.lixil.co.jp/lixilps/shop/goods/index.html?ggcd=NETLV00136)
アクセルラボ「Space Core ペットテック住宅プラン」
アクセルラボの「Space Core ペットテック住宅プラン」とは、賃貸住宅、戸建住宅、分譲マンションなど住宅の種類に合わせて、ペットも人も安心・快適に暮らせる最適なスマートホーム化させるサービスです。
「SpaceCore」は連携可能なデバイス数が多彩であり、できることや利便性が格段に違うスマートホーム化を実現します。カーテン・エアコン・カメラ・鍵・床暖房・照明・給湯器・テレビなどあらゆる設備をスマートホームデバイスと家電や設備を連携させ、アプリで一括管理・操作でき、自動で快適な環境を作ることができます。
リモコン代わりのアプリではなく、シーンに合わせて自動で動かすことが可能です。たとえば、温度や湿度を検知するセンサーとエアコンなどが連携して自動的調節したり、360度回転するカメラで外出先から姿を確認できたり、遠隔操作でカーテンを閉じてエアコンを作動したりなど、ペットのために快適な環境を作り上げることができます。
▶アクセルラボ「Space Core」(https://space-core.jp/)
スマート・ペットハウス・コージー2
スマート・ペットハウス・コージー2は猫用スマートハウスであり、使い方次第では健康管理にも役立つかもしれません。以下のことができます。
- Wi-Fiに接続し、PETKITアプリと同期する事でスマートフォンから指1本で操作
- 温度と湿度を感知するセンサーが内蔵なので、周囲の温度を正確に測定し、快適な温度になるようアプリから自動調節管理
- 「スマートモード」でゲージに入ったら2時間電源を自動でオンにするなど、タイマー設定または作動条件を設定
- ペットの好みや体調に合わせてアプリから手動の温度調節
- 赤外線センサー内蔵なので、猫がハウス内にどれくらい滞在していたのか測定
▶アクセルラボ「スマート・ペットハウス・コージー2」(https://tinyurl.com/2yr229un)
スマートねこトイレ
「スマートねこトイレtoletta」は、ねこがトイレを使用するだけで、以下のことをデータ化しアプリと連携することで、ねこにストレスをかけることなく、24時間365日ねこの小さな変化にもすぐ気づける見守りスマートトイレです。
- 体重計測
- トイレ回数や時間
- 滞在時などをデータ化するなど
- 顔認識カメラでねこを識別し、多頭飼育にも対応
トレッタ独自の、獣医師と共同開発したシステムで変化を見逃さず、病気の早期発見・予防、健康管理ツールとして最適であり、人間のトイレでも似たようなサービスがあります。
▶スマートねこトイレ「toletta」(https://tinyurl.com/23p6moht)
マルカン「AutoFeeder ペット用オートフィーダー」
マルカンのAutoFeederは、専用アプリで本体とスマートフォンのWi-fiの設定を行い、外出先からカメラとマイクを操作することでペットの様子を確認したり、話しかけてペットとの距離を縮めたりしながらご飯を与えられる「カメラ・マイク・スピーカー付き自動給餌器」です。ヒデオは画面にタッチすることで全画面モードと画質モード(HD、SD、スムーズ)に切り替えることができます。
また、タンクには4.3L(約1.5kg)のドライフードをストック可能であり、赤外線センサー付きなのでフードの出過ぎや食べ残しを防止します。アダプターが外れた時や停電が起こったとしても、アダプターと電池の2WAY給電式なのでペットのお留守番も安心です。
▶マルカン「AutoFeeder ペット用オートフィーダー(http://www.mkgr.jp/special/autofeeder/)
まとめ
スマートホームとペットテックについて解説してきました。以下まとめになります。
- ペットテックは最先端のITやAI技術を活用することで、ペットの世話や飼育、健康管理などのサポートを行う商品・サービス
- ペットテック製品のスマートホーム化は、スマートホンや音声による一括管理・操作が可能となり、ペットは留守中でも温度や湿度、空腹に苦しむことなく快適に過ごすことができ、飼い主は留守中のペットの様子やデータ蓄積による健康状態を把握できる
- ペットテック×スマートホームな製品はたくさん出ており、活用することで飼い主もペットも今よりさらに快適になる
ペットテックとスマートホームの技術がこれからどんどん進んでいけば、寒さ対策や熱中症防止、事故防止、健康管理など、ペットも飼い主も安心で安全で、今よりもさらに快適な暮らしを実現することができます。スマートホーム化にはWi-fiなどインターネット環境が必要となりますが、ぜひこの機会に愛するペットのために導入してみてはいかがでしょうか。