新型コロナウイルス感染症の拡大によって、外出先でもスマートフォンから映像確認や操作ができるネットワークカメラはニーズが高く、どんな年代や生活スタイルの方からも使い勝手が良いと人気を集めています。ペットの見守り、小売店や工場などの防犯やセキュリティ監視など活用目的は様々です。
ネットワークカメラは、スマートスピーカーと連携することでスマートホーム化が可能です。今回は専用デバイスによってスマートホーム化可能なネットワークカメラについて解説します。
ネットワークカメラは専用デバイスによってスマートホーム化が可能
ネットワークカメラは、スマートスピーカーなどの専用デバイスによってスマートホーム化が可能です。
スマートホーム化とは、スマートフォンやスマートスピーカーなどの専用デバイスを後からつけることで、IoTに対応・非対応の家電やガジェット・設備などを一括管理・音声操作できるようにすることです。
スマートスピーカーと連携すれば、わざわざスマートフォンで操作をしなくても、音声操作することができます。
また、AlexaやGoogleアシスタント対応だけでなく、HomeKitやSiriに対応しているものもあります。
一括管理・音声操作を可能にするスマートハブ機が能内蔵されているスマートスピーカーは、レンタルサービスを利用してお手軽に試すことができます。
ネットワークカメラとは
ネットワークカメラとは、カメラ本体にコンピュータが内蔵されていて、機器そのものにIPアドレスが割り振られており、単独でインターネットに接続できるカメラのことです。そのため、IPカメラとも呼ばれます。
IPアドレスとは、ネットワーク上でデータを送受信する際、データの送信元や送信先を識別するための番号です。つまり、インターネット上の住所のような存在です。
コンピュータ内蔵なので基本的に特別な制御機器を用意する必要がなく、遠隔地からスマートフォンやPC・タブレットなどから映像の確認やインターネット経由で録画データの保存などが可能です。ネットワークカメラは非常にシンプルなシステムであり、以下のような特徴があります。
- 安価な家庭用のネットワークカメラの場合、カメラ1台ごとにACアダプターをコンセントに接続して電源供給する
- バッテリー内臓のものもあるが、駆動時間に制限があるので外出時の見守りなど、家庭用として利用されるケースが多い
- PoEを使えばLANケーブル一本でネットワーク機器に接続、電源供給できるので手軽に導入でき、映像配信、PoE経由の電源供給、カメラ増設・移動、カメラコントロールまで可能
- 配線そのものが不要のWi-Fi接続商品もある
ネットワークカメラは独立して動くのでPCにつなげる必要がなく、IPネットワークさえあれば、どこにでも設置することができます。また、ネットワークカメラは複数のアプリケーションと交信し、モーション検知や別々のビデオ映像を送信することも可能です。
POEとは
POE(Power over Ethernet)とは、PoE対応のハブとLANケーブルだけで電力供給ができる方法です。ネットワークカメラの特徴的な機能であり、業務用でネットワークカメラを導入する際はPoE対応商品採用が多く、以下のような特徴があります。
- 屋外や天井などの電源を確保しにくい場所でも設置しやすい
- 電源工事が不要
- 省線化
ネットワークカメラの形状タイプと特徴
ネットワークカメラの形状タイプと特徴は以下の通りです。
ドーム型ネットワークカメラ
ドーム型ネットワークカメラの特徴は以下の通りです。
- 目立ちにくく威圧感が少ない、照明のような形状
- ショップや飲食店などの屋内設置に向いている
- 影範囲も広く、360度旋回できるタイプもある
- 死角ができにくい
ボックス型ネットワークカメラ
ボックス型ネットワークカメラの特徴は以下の通りです。
- ドーム型よりも大きく存在感があるので監視だけでなく犯罪抑止効果が期待
- 金融機関やショッピングモール、駐車場などに設置
- ズームレンズ対応や耐久力に優れた製品が多い
- ハウジングと呼ばれる専用カバーをつけて屋外用途として使われることも多い
小型ネットワークカメラ
小型ネットワークカメラの特徴は以下の通りです。
- 手のひらサイズなどの小型の製品
- ドーム型よりもさらに小さく目立たない
- スタイリッシュな店の雰囲気に合わせたい場合や、景観に溶け込ませたい場合などに向いている
- 小型なので狭い場所や、高い場所にも設置できる
ネットワークカメラの機能
ネットワークカメラの主な機能は以下の通りです。
- イメージセンサー:レンズから入った光を電気信号に変換する半導体チップ、映像素子。大きいほど映像品質がよくなる
- PTZ機能:遠隔操作でカメラの首振り(水平・垂直・ズームアップトアウト)を制御
- 防水、防塵機能:屋外で使用する場合求められる。ネットワークカメラならIP66が最も高い性能
- 専用のスマートフォンアプリ:移動中や遠隔地から映像確認やPTZ機能使用可能
- 検知機能:センサーやマイクが搭載されているので、動体検知、侵入検知、自動追尾、持ち去り検知などが使用可能
- 赤外線、ナイトモード:赤外線照射などによって、夜間など照明がない場合でも撮影できる機能であり、屋外設置カメラには必須
屋外・屋内設置で求められる性能
ネットワークカメラの設置個所は大きく分けると屋外と屋内になります。
- 屋外:家の玄関や工場の入出荷場所、店舗の駐車場など
- 屋内:部屋の中や施設での高齢者やペットの見守り、店舗内、店舗のバックヤードでの防犯など
設置する場所によって求められる機能が異なります。
屋外に設置した場合
屋外に設置する場合、以下の性能が求められます。
- 雨風や日光の影響を受けない防塵・防水機能と逆光補正機能など
- 広い範囲を撮影するため、広角タイプレンズや、望遠タイプレンズを搭載したカメラ
屋内に設置した場合
屋内に設置する場合、以下の性能が求められます。
- 撮影対象に余計な威圧感を与えたり、雰囲気や景観を損ねないデザインや形状
- 見守り用途利用時に不審者の侵入を検知できる動体検知などの機能
ネットワークカメラの録画方法
ネットワークカメラの録画方法は以下の通りです。
サーバー録画
サーバー録画とは、ネットワークカメラで撮影した映像データを、LANケーブルでネットワークカメラに接続し、データ保存用の専用サーバーに映像を保存する方法です。一般的ですが、サーバーの用意と保守やメンテナンス、データ容量増加時の増強など、管理の手間が発生するというデメリットがあります。
NAS録画
撮影した映像をネットワーク経由で、NASに保存する方法です。
NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワーク(LAN)上に接続し、wi-fiで繋がることで、つなぎ換えることなくスマートフォンやパソコンなど、複数の機器を同時に接続できるハードディスクです。NASがあれば自宅のデータにアクセスし、外出先からデータ共有することもできます。
HDDの故障リスクに配慮して、複数のHDDにデータを同時保存するミラーリングという手法を採ることもありますが、カメラの台数や記録データ量が増加する場合には、機器の増強やメンテナンスが必要となります。
クラウド録画
クラウド録画とは、「クラウド型カメラとれ~る」のような専用のクラウド録画サービスに申し込むことで、撮影した映像をクラウド上に保存する方法です。HDD容量不足で録画ができていなかったりなどのトラブルがある場合、クラウド録画に切り替えた所、録画ができているか毎日チェックしたり、HDDの容量を気にする必要がなくなりました。
機器の導入やメンテナンスが不要であり、初期費用を抑え手軽にネットワークカメラを導入できます。クラウドサービスの利用はセキュリティ性が高く安心できますが、別途利用料が発生します。
ネットワークカメラの主な活用方法
ネットワークカメラの主な設置目的は以下の通りです。
防犯やセキュリティなどの監視
ネットカメラを設置する最も多い活用方法は、防犯やセキュリティなどの監視です。わざわざ現場に足を運ばなくとも、離れた場所からスマートフォンなどでリアルタイムに監視できます。
- 駐車場:不審者が現れた場合、顔認証機能で不審者を登録しておき、侵入するとアラームを出す
- 飲食店や小売店など:従業員の接客状況や接客態度をチェックし、若手の教育に生かす。万引きや内引き対策
- 工場:従業員の作業状態や機械の内部までを映像でチェックし、さらなる効率化や品質向上につなげる。夜間侵入に備え、赤外線や温度認識するサーマルカメラなども導入
- 食品工場:原材料の調達から廃棄までの一連の流れを追跡(トレーサビリティ)
密を避ける
ネットワークカメラはインターネットに接続することで、自宅から離れた場所でも活用することができるので、密を避けることができます。また、外出していてもスマートフォンなどからリアルタイムで確認できるため、見守りにも利用できます。
- 授業の内容をライブ配信して遠隔授業
- 研修室と各拠点をネットワークカメラで繋ぎ、複数拠点で同時研修
- 新入社員のリモート研修
- ネットワークカメラの検知機能を応用することで入室人数をカウントし、一定人数を超えた時点でアラートを出す
- 介護施設や保育園などの見守り
- 自宅でのペットの見守り
トラブルの証拠やマーケティングツールとして
ネットワークカメラの映像や音声は、顧客とのトラブルや事故発生時に証拠として活用できます。マイク内蔵ネットワークカメラであれば、会話の内容も映像もきちんと記録されるので、接客業が多い小売店などで、トラブル発生時に原因などの追及がしやすくなります。
また、人数カウント機能や映像識別機能などを使って、スーパーなどの来店客数や客層を把握するなどマーケティングに活用するニーズも増えつつあります。POSデータと合わせて来店者の行動分析を行えば、よりきめ細やかな販売戦略と商品棚や売り場レイアウト改善などに役立てることができます。
まとめ
専用デバイスによってスマートホーム化可能なネットワークカメラについて解説してきました。以下まとめになります。
- ネットワークカメラはスマートホームデバイスによりスマートカメラにできる
- ネットワークカメラは、単独でインターネットに接続でき、遠隔地からスマートフォンやPC・タブレットなどで映像の確認ができ、インターネット経由で録画データの保存などが可能
- ネットワークカメラには様々な形状や機能があるので、設置目的に合わせて選択する
見守りや監視だけでなく、新型コロナウイルスによる影響を回避するため密を避けたリモート授業や研修など、ネットワークカメラは非常に便利です。ネットワークカメラはスマートフォンから操作可能ですが、スマートスピーカーと連携してスマートカメラ化すれば一括管理・音声操作が可能となり、さらに便利になるでしょう。ぜひこの機会にネットワークカメラによるスマートカメラを検討してみてはいかがでしょうか。