現在、家電をIoT化することで、スマートホーム化が進んでいます。IoT化した家電にとって重要なのは、電気代と通信費用です。
電力会社・電力プランの選択が適切でない場合、電気代や通信費の費用がかえって高騰するかもしれません。
そのため、少しでも安くするためには電気代と通信費用の見直しと契約する会社やプランの変更の検討が必要となります。
スマートホーム製品を取り入れることで、電気代は安くなるのでしょうか。今回はスマートホーム製品を使って電気代を安くできるかについて解説します。
電力は使用していなくても消費されている
電化製品はコンセントに接続されている限り、電源が切れている状態でも電力を消費します。これを待機電力といいます。次の表は各家電で発生する待機電力の例です。
家電名 | 待機電力(W) |
給湯器(ガス床暖房なし) | 6.4 |
エアコン | 2.4 |
デスクトップパソコン | 2.0 |
モデム | 6.0 |
充電式掃除機 | 4.1 |
電話機(FAXあり) | 3.4 |
電話機子機・充電器 | 1.1 |
テレビ(液晶) | 0.2 |
HDD/DVDレコーダー(録再機) | 3.4 |
電気炊飯器 | 1.1 |
温水洗浄便座 | 2.6 |
待機電力は、電気製品の使用状態により待機電力とする範囲は大きく異なり、また同じ種類の電気製品でも機種により待機電力が大きく異なります。
1Wの待機電力のものを1年間使わずに放置していた場合、8.76kWh消費し、1kWhを22円で換算すると年間約193円の電気代がかかっていることになります。
(24時間×365日=8,760Wh(8.76kWh)、8.76kWh×22円=192.72円(約193円)
本体の主電源スイッチやリモコンで電源を切ったとしてもコンセントを抜かない限り待機電力は発生します。そのため、待機電力節約にはコンセントを抜くのが一番ですが、家にある全ての家電となると非常に面倒です。
また、以下のような危険性もあります。
- プラグの抜き差しを頻繁に繰り返すと電圧変動などで製品そのものの寿命を短くなる
- 主電源を切らずにプラグを抜いたり、主電源を切っても機器の動作が完全に停止する前にプラグを抜いたりすると故障の原因になる
- プラグの抜き差しを頻繁に繰り返すとコンセントとの接続部が緩んでプラグが外れやすくなり、接触不良での出火や漏電、感電の原因になる
しかし、スマートホーム製品であるスマートプラグはその面倒な作業と危険性を解決してくれます。
スマートプラグとは
スマートプラグとは、壁のコンセントに挿して使用するプラグアダプターやたこ足配線用のマルチタップをスマート化したものであり、接続家電をIoT化してインターネットに繋げることができます。
スマートプラグと連携したスマホのアプリや、スマートスピーカーから電源のオンオフが遠隔(音声)操作できるので、外出時や就寝時にテレビや照明など複数の電化製品のスイッチを1回の操作で一気にオフにすることができます。
また、トリガー設定を行えば電化製品の消費電力によってスイッチのオン・オフも可能になります。そのため、スマートプラグは、リモコン操作に対応していない押しボタン式の家電などと相性抜群です。
さらに電力消費量計測機能が付いているものもあり、その場合挿した家電の電力消費量をモニタリングすることができます。
スマートプラグの選び方
スマートプラグには直接コンセントに差し込むタイプと延長コードタイプがあります。
直接タイプは口数が1個か2個であり、延長コードタイプは3個以上あり、USBポート付のものもあります。まとめて電化製品を管理したい場合、口数の多い延長コードタイプを選びましょう。また、スマートプラグには以下のような機能が搭載されたものもあります。
- スマートスピーカーと連携して音声操作できる
- 家電の起動条件と行動を事前に設定できるIFTTT機能(室内の気温10度になったら、エアコン暖房が自動でつくなど)
- 指定した時間で家電の起動ができるタイマー機能
- 消費電力チェック機能
SwitchBotプラグ スマートプラグ SP90
「SwitchBotプラグ スマートプラグ SP90」は、SwitchBotアプリを無料ダウンロードして、Wi-Fi(2.4 GHz)に接続して使用できるスマートプラグです。
利便性が高く、スマホで家電や照明の電源を管理でき、オン/オフが自由に切り替えられるだけでなく、アレクサ、グーグルホーム、シリとの連携が可能で、IFTTT機能も付いています。家のWiFiへの設定も簡単で、設定後すぐに使うことができます。
また、専用アプリによる一括管理、スケジュール、タイマー、カウントダウンの設定や、生活スタイルに合わせた設定が可能なので、外出先からスマートフォンの専用アプリで帰宅前に扇風機や加湿器をオンにする、複数のプラグに接続された家電を一括オン/オフすることができます。
そのため、現在の電力使用量をスマートフォンから確認したり、スケジュールに合わせてスマートフォン操作で自動的に家電や電気を消すことで消し忘れや待機電力を減らすことができます。
ただし、容量は1,500W(15A)までとなっているので、家電の組み合わせにご注意ください。
スマートプラグを使用して得られる省エネ効果
下記の家電の年間待機電力電気代は1kWh=22円の場合、8.76kWh(24時間×365日)×待機電力×22によって求められます。
スマートプラグを使った省エネ効果により稼働率50%(4.38kWh/年(24時間×365日×50%÷1,000))、1kWh=22円の場合、年間電気代は4.38×待機電力×22で求めることができます。
家電名 | 待機電力(W) | 年間待機電力(kWh/年) | 年間電気代(円/年) | 稼働率50%での電気代(円/年) |
給湯器(ガス床暖房なし) | 6.4 | 56 | 1,233 | 617 |
エアコン | 2.4 | 21 | 462 | 231 |
デスクトップパソコン | 2.0 | 17 | 385 | 193 |
モデム | 6.0 | 52 | 1,156 | 578 |
充電式掃除機 | 4.1 | 36 | 790 | 395 |
電話機(FAXあり) | 3.4 | 30 | 655 | 327 |
電話機子機・充電器 | 1.1 | 10 | 212 | 106 |
テレビ(液晶) | 0.2 | 2 | 38 | 19 |
HDD/DVDレコーダー (録再機) | 3.4 | 30 | 655 | 327 |
電気炊飯器 | 1.1 | 10 | 212 | 106 |
温水洗浄便座 | 2.6 | 23 | 501 | 250 |
- 通常の場合:年間の待機電力の合計は約287kWh/年、電気代は約6,299円/年
- 稼働率50%の場合:年間の待機電力の合計は約143kWh/年、電気代は約3,149円/年
このように、スマートプラグを有効活用することで稼働率を50%まで下げた場合、待機電力量と電気代を半分にすることができるので、電気代を安くすることができます。
スマートプラグは約1年程度で費用回収可能
上記のようにグループ分けを行い、2022年3月1日現在、Amazonで最安価格スマートプラグ「TP-LinkのTapo P105/A」(メーカー保証3年)を使用した場合、年間投資金額と回収期間は次のようになります。
グループ分け | 省エネ電気代(円/年) | スマートプラグ価格(円) | 投資金額(円/メーカー保証3年) | 回収期間(年) |
給湯器(ガス床暖房なし)・電気炊飯器 | 723 | 2,080 | 693 | 0.9 |
エアコン・充電式掃除機・テレビ(液晶)・HDD/DVDレコーダー(録再機) | 972 | 3,880 | 1,293 | 1.3 |
デスクトップパソコン・モデム・電話機(FAXあり)・電話機子機・充電器 | 1,204 | 3,880 | 1,293 | 1.1 |
温水洗浄便座 | 250 | 1,199 | 400 | 1.6 |
全体での回収期間は年間省エネ電気代3,104円、スマートプラグ価格11,039円、投資金額約3,680円/年となり、回収期間は約1.2年になります。
スマートプラグはそれほど高価ではないので十分導入可能な価格であり、1ヶ所のスマートプラグで500円/年程度の省エネを目指して電化製品をまとめると、約1年程度で金額を回収できるでしょう。
スマートプラグにも待機電力が発生する
スマートプラグにも待機電力があります。スマートプラグによって異なりますが平均すると通電状態は約1W、遮断状態は約0.5Wとなります。
1kWh=22円換算の場合、年間待機電力と電気代は以下のようになります。
- 通電状態:年間待機電力8.76kWh、年間電気代約193円
- 遮断状態:年間待機電力4.38kWh、年間電気代約96円
スマートプラグ自体にも待機電力があるということをわかった上で、使い方の工夫し、電気代を安くしましょう。
スマート製品と連携した電気小売サービス「Natureスマート電気」
IoT製品を開発・販売しているNature社の製品に、スマートリモコン「Nature Remo」があります。
「Nature Remo」は、Bluetoothや赤外線で操作できる家電製品をスマートリモコンで一括管理できるので、自宅を簡単にスマートホーム化することができます。
Nature社は自宅の電力量を可視化できる「Nature Remo E」も販売しており、2021年5月から「Natureスマート電気」という電気小売サービスの提供を開始しました。
Natureスマート電気は独自アルゴリズムを持つNature Smart Eco Modeに、Nature Remoが連動することで以下の事が可能になります。
- Nature Remoのオートメーション機能により、30分ごとに変化するその日の電力量料金単価に応じた家電の自動操作
- 電気代が高くなる時間帯を自動判別し、あらかじめ設定しておいた電力量料金単価を上回ると家電の自動オフ、自動調節操作
- アプリから通知を受け取ることで、リアルタイムに変動する電気の価格に合わせて自分で家電操作
- アプリのマイページから翌日電力需給を時間帯ごとに確認できるので電気代節約
- アプリのマイページから電気の使い方をスコアで確認できるためゲーム感覚で節電
- スマートフォン一つあれば複雑な設定をする必要なく、節電・節約効果を取得
Natureスマート電気プランの種類
Natureスマート電気には3つのプランがあります。
- フラットプラン:基本料金0円、料金単価ずっと同じ。電気代を安くしたいけど市場価格に左右されずに電気を使いたい人、使った分だけ支払いたい人、平日の昼間に電気をよく使う人におすすめ
- スマートプラン:市場価格に連動した電気料金で、安い時間に電気を使用してお得。夜や日曜日、祝日に電気を使う人におすすめ
- ハイブリッドプラン:固定単価と市場連動を組み合わせることで、年間を通してお得な料金設定。夏や冬も1日中家にいることが多く、どちらも試してみたい人におすすめ
スマートプランは市場価格と連動しているため、うまく利用すれば電気代を抑えることができますが、電気代が高くなる時間帯に電気使用を抑えるなどの工夫も必要です。
ただし、節約の対象となるのはスマートプラン、ハイブリッドプランの春季・秋季ですのでご注意ください。
まとめ
スマートホーム製品を使って電気代を安くできるかについて解説してきました。以下まとめになります。
- 家電の電力はコンセントに挿入されている限り、使用していなくても消費されている
- 1年間の待機電力が1Wの場合、年間消費電力は8.76kWhであり、1kWhを22円で換算すると年間約193円の電気代がかかっていることになる
- スマートホーム製品を工夫して使えば電気代は安くなり、製品費用も1年程度で回収できる
電気代は年々高くなり、家電は待機状態でも電力を消費します。コンセントの過度な抜き差しは電気代節約になりますが、コンセント老朽化による火災や漏電などの危険性があります。
スマートホーム製品はスマートプラグ以外にも、工夫次第で電気代を安く、費用回収を約1年程度でできるものがたくさんあります。スマートリモコンと連動して電気代節約ができる電気小売サービスも出てきました。この機会に、スマートホーム製品を使って電気代を安くするよう行動してみてはいかがでしょうか。