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スマートホーム発祥はアメリカ? スマートホーム普及には個別デバイスと連携・管理するプラットフォームサービスが重要!

2021年11月03日にREPORTOCEANが発行した新しいレポートによると、世界のスマートホーム市場は、2020年には約765億米ドルとなっており、2021年から2027年の予測期間中に約10.4%の健全な成長率で推移すると予想されています。アメリカでは、20%以上の住宅にスマートホームが導入されています。どんどん市場を拡大させていくスマートホームの始まりはアメリカでした。今回はスマートホームとアメリカについて解説します。

スマートホーム先進国アメリカになった流れ

アメリカのスマートホームの始まりは「スマートリモコン」と「サーモスタット(温度調節機)」で、そこに音声操作が可能なスマートスピーカーが加わることで簡易的なスマートホームが流行りました。
現在のように技術を使って人々の生活をアップデートしていこうという流れをスマートホームという言葉で表現するようになったのは1998年頃からだとされています。
スマートホーム先進国アメリカになった流れは以下の通りです。

スマートホーム概念提唱はアメリカ

1980年代、スマートホームという概念がアメリカで提唱されました。日本では1990年代にトロン電脳住宅が話題となり、ホームオートメーションブームが到来しています。

スマートグリッドと世界的IoTブーム到来

2009年10月27日に、アメリカのバラク・オバマ大統領は次世代送電網「スマートグリッド」に34億ドル(約3,100億円)という巨額の予算を投じて米国の送電網を刷新すると発表し、世界中から注目されました。

スマートグリッドは無駄な発電の排除と効率の良い電気供給を目的とした、最新の電力技術とIT技術を駆使したシステムです。発電所や送電網にとどまらず、家庭や工場などの電力消費地をも光ファイバーなどのネットワークで結びます。
既存の電力計の代わりに、電力線と併設されたネットワーク回線で消費電力などの情報を電力会社にリアルタイムに転送するスマートメーター。これをすべての家庭やオフィスなどに設置することで、電力会社が供給先のエリアや個別家庭の詳細な電力消費量の把握や集計値に基づく正確な電気消費量予測を立てることができます。

最大ピーク消費量をベースに建設が進められていた発電所や変電所の計画を、具体的な消費予想をベースとして計画的に配置可能となり、発電所側は、リアルタイムな需要に応じてきめ細かな発電を行えますので、これまでのような無駄な発電を行う必要がなくなります。

スマートフォンが世界的に広まったことをきっかけに、スマートフォンと接続するデバイスが登場し始め、世界的なIoTブーム到来が市場を広げることとなりました。

家ナカと家ソトの機能登場

2014年、アメリカで音声応答エンジンAmazon Echoが発売され、サーモスタットやホームカメラソリューションなどを手がけるNestがGoogleに買収されるなど、家ナカの「ハブ」としての機能が登場し始めました。スマートフォンとの接続を前提とし、ホームゲートウエイとの接続を前提としていたスマートホームのソリューションが、ハブを中心にして相互接続を行うようになったのです。

2018年にはAIブームが起こり、スマートホームデバイスに関してAI搭載のデバイスが多く登場しました。スマートホームの進化は家ナカだけにととまらず、現在では外部連携を行ったり、スマートシティやMaaSなど、他のデジタルトレンドとも連携するようになり、スマートホームは新価値を見出す段階に入ってきたといえるでしょう。

スマートホームの爆発的普及を巻き起こしたのはプラットフォーマー

現在にも続くスマートホームの爆発的普及を巻き起こしたのはデバイスメーカーではなくプラットフォーマーでした。

アメリカでは、スマートロックやスマートLED照明、また、エナジーコントロールをして電気代を抑えるデバイス、テクノロジーを活用したホームセキュリティ関連のIoTデバイスであるカメラによる監視、センサー、スマートロックなど、個別のデバイスを連携させて管理・操作するプラットフォームサービスが伸びています。
導入のハードルが低いことも普及を後押ししている理由と考えられています。アメリカではスマートロックも数千円で設置可能であり、コスト面でも導入しやすい環境が整っています。

個別のデバイスを連携させてソフトウェアの力で住居全体をコントロールするというプラットフォーマーの考え方が、アメリカのスマートホームのスタンダードになっていきました。プラットフォーマーは現在4社に集約され、彼らとデバイスメーカーの働きにより、年間700万戸の住宅がスマートホーム化されていくと予測されています。

アメリカ全土の住宅がスマートホームになっていく

コロナ禍やSDGsの影響も受け、スマートホームはさまざまな課題に対して具体的解決手段として認識されていきました。
エネルギー消費の管理、ホームオートメーションによる生産性の増加、スマートロックやセンサーを利用したホームセキュリティなど、アメリカは大幅な導入を進めています。アメリカのスマートホーム事業者Vivint Smart Homeは、2020年の年末に前年比28%の加入者増加を果たしています。

2024年には、アメリカの住居の約半数がスマートホーム化すると予測されています。
世界でのハイテク製品普及率は16%を超えることは難しいとされていますが、16%を超えた製品は驚くほど一気に一般化していきます。すでにアメリカ全土の住宅がスマートホームになっていくことは不可逆的な流れといえるでしょう。

スマートホームの普及にはプラットフォームサービスが関わってくる

スマートホームの普及には、プラットフォームサービスが関わってくるでしょう。プラットフォームサービスでは、さまざまなIoTデバイスが連携することによって、利便性がさらに上がります。
たとえば、スマートロックの場合、スマートフォンで鍵の開閉をするだけでなく、鍵が開いたらセンサーが人を感知して、カメラが起動し、スマホから映像が見える、というようにさまざまなIoTデバイスが連携します。アメリカにはこのようなプラットフォームサービスが複数あります。

スマートホームAI「CASPAR」

スマートホームAI「CASPAR」は、住宅をコンピューティングプラットフォームに変換する分散型AIオペレーティングシステムです。Apple・Alexa・Somfy・GEなどのトップブランドと連動し、様々な機能を展開します。
すでにアメリカで導入されており、住宅の自動化を実現しています。

CASPARは住宅内のマルチモーダルセンサーを使用して居住者の健康状態・行動・意図を予測し、Amazon AlexaやAppleなどの音声アシスタントと連動してボイスコマンドで指示するなど、人の動きに合わせて自動で機器を操作してくれます。

居住者がコンロをつけっぱなしにしているとアラートが鳴る、転倒や長時間の不活動状態を検知すると施設に連絡する、留守中のペットの見守りを行うなどの機能があります。高齢者向け住宅でCasparを使用すると、居住者へ安全かつ健康的で魅力的な生活を提供できます。同時に、高齢者向け住宅開発業者や施設管理者は運用コストを抑えながら、介護者による接触回数の少ないロータッチ介護が可能になるでしょう。

また、住人の家の中での生活スタイルや好みを日々学習することで、自動で先回りして家の機器を操作し、照明や温度などを自動調整してくれます。
たとえば、住人の起床時間を学習し、それに合わせてカーテンを自動で開けることができます。

CASPARはAIの強みである「深層学習」をスマートホームに応用したものであり、ボタンや画面操作に頼らず、目的を達成する「NO UI」となります。そのため、暮らせば暮らすほど使い勝手がよくなります。

スマートホームで家は進化していく

これからのスマートホームでは、家が住人に対して会話のように提案してくれるといったことも技術的には可能になると考えられています。
たとえば、体重計やバイタルなどと連携できるスマートミラーを設置し、毎日体重や健康状態のデータが蓄積され、AIから「顔色が悪いので、病院に行かれては?」といった案内がされたり、いつもお風呂に入る時間が近づいたら「お湯を張りますか」と提案してくれることが可能になるかもしれません。
今後、スマートホームのテクノロジー進展とともに、住まいがさらなる進化を遂げる可能性に期待が高まります。

アメリカのスマートホームスタートアップ企業

アメリカのスマートホームスタートアップ企業を3つ紹介します。

LIFX

1つ目は「LIFX」です。

カリフォルニア州を拠点の「LIFX」は、2012年に創業しました。世界初マルチカラーLEDスマートライトを発売し、現在では80か国以上でさまざまなスマートライト製品を展開しています。2020年には、表面と周囲の空気を消毒できる世界初の抗菌スマートライト「LiFX Clean」を発表しました。

LIFXのスマートライトにはWiFiとBluetoothが組み込まれており、ハブを必要としません。AmazonのAlexa、Google assistant、さらにはAppleのSiriやHomekitなど様々なスマートホームステーションと連携させることができます。

August Home

2つ目は「August Home」です。

カリフォルニア州拠点の「August Home」は2012年に創業しました。
スマートフォンでドアの施錠・解錠を可能にするスマートロックや、Smart Accessと呼ばれるワンタイムパスワードを介した解錠プラットホームを展開し、不動産会社やスーパーマーケットなどと提携したサービを提供しています。2017年にはドア開閉ソリューション最大手のASSA ABLOYの傘下に入っています。

Awair

3つ目は「Awair」です。

カリフォルニア州に本社がある「Awair」は2013年に設立されました。
Awairでは最先端の空気検出技術によって時間の経過に伴う空気の質の変化とパターンを追跡できるため、家庭内の空気を最適に保つ助けとなります。
Awair Element Indoor Air Quality Monitorでは、二酸化炭素レベルを測定し、PM2.5を追跡することにより、自宅の空気の質を評価することができます。また、AlexaとGoogleアシスタントなどのスマートホームプラットフォームに温度と湿度のレベルを連携させることもできます。

まとめ

スマートホームとアメリカについて解説してきました。以下、まとめになります。

・スマートホームの概念はアメリカが始まりであり「スマートリモコン」と「サーモスタット」にスマートスピーカーが加わることで簡易的なスマートホームが流行った
・スマートフォンが世界的に広まったことをきっかけに、2014年から2018年にかけてスマートホームに家ナカと家ソトの機能が登場する
・スマートホームの普及にはプラットフォームサービスが重要

2024年には、アメリカの住居の約半数がスマートホーム化すると予測されており、個別のデバイスを連携させて管理・操作するプラットフォームサービスがスタンダードになっています。スマートホームは便利なだけでなく、私達の生活をより豊かで快適に、安心安全なものにするサービスを提供し、その普及率はさらに加速化していくでしょう。

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